三文芝居
日々の戯言を列ねていきます。
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一人遊び
ネウヤコ廃と薬売り厨とタイバニフリークこじらせた。
この邸(やしき)には怪が棲んでいる。
座敷牢
南蛮の白壁を模した、邸館と称しても過言ではないほどの美しい屋敷。
名を『蚕月館』と云う。
「どうも」
新橋色の女物の着物を隙無く纏った男が、本紫の頭巾に被われた頭を下げて会釈をした。
「フム」
窓を背に設けられた書机から離れ、書斎手前の応接セットに席を移した邸の主は、扉の前に居立つ男に手振りだけで向かいを勧めた。
男が座るのを待って、主は鷹揚な動作で持て余し気味の長い足を組み、背を深く背もたれに預けると、腹の前で革手袋に包まれた指先を絡ませる。
仕草が一々芝居掛かっている。
「それで、どのようなご用件で?」
主が問う。
「どの、と言うことも、御座いませんがね。旦那が、大層珍しい鳥を飼ってる、って、聞いたものですから。」
妙な拍子で喋る男である。
「ほう?」
主は歎息した。
「見ての通り、南蛮被れなもので。孔雀に鸚鵡に鸚哥、…ああ、それから金糸雀も見たかな?」
「それはそれは」
大袈裟な動作で主は頷いた。
「単なる好奇心なんですが、見せて、いただきたく」
張り付いたような無表情で語る男の声も、どこまでも平坦だった。
「左様ですか。しかし、お引き取り願いたい」
主は浮かべた微笑を、僅かに眉を顰めて微苦笑に変えた。
「ほう?」
今度は男が歎息した。
「実のところ、そんなもの我が家には居ないのですよ。期待していただいたようで大変申し訳ないですが」
「おや?」
男は片眉を上げた。
「外にでしたら烏や鳩ぐらいはいるでしょうが」
主は肩を竦めて見せた。
「そう、ですか」
男は目を閉じて肩を落とした。
「なら、」
「何が、」
「居るんです?」
男が尋ねた。
主は顔色を換えずに答えた。
「雀が一羽」
*****
「何ですか、コレ?」
冒頭を観てバーナビーは声を出した。
隣でスクリーンの真ん前を陣取っているイワンが、食い入るように画面を見詰めていたので途中で聞くのを憚られたためだ。
因みに今画面ではOPムービーが流れている。
「ジャパニメーションです。すみません、無理やり押し掛けてしまって」
バーナビーより年下のイワンはしゅんと俯いてしまった。
「構いませんよ。無理やりなのは虎徹さんの方ですから」
ニコリとバーナビーは微笑んだ。
「そうだぞ折紙ィ。元は俺が言い出しっぺなんだからお前は謝んなくていいんだぞ。にしてもバニーちゃん、おじさんの扱いヒドくない?」
反対側から虎徹がイワンの頭を撫でて宥める。
「どこがですか?勝手に人の家に上がり込んで」
「なんだよ~、バニーん家スクリーンデカいし防音だからピッタリじゃん?お礼にお前の分だけエビフライ付けてやったんだからいいだろ?」
バニーだけ特別だぞ、と虎徹が囁いた。
「今回だけですよ」
バーナビーは顔を逸らす。
「ったく可愛くねェな」
「可愛くなくて結構です」
「ほら、始まりますよ!」
イワンの一声で三人は画面を見詰めた。
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この邸(やしき)には怪が棲んでいる。
座敷牢
南蛮の白壁を模した、邸館と称しても過言ではないほどの美しい屋敷。
名を『蚕月館』と云う。
「どうも」
新橋色の女物の着物を隙無く纏った男が、本紫の頭巾に被われた頭を下げて会釈をした。
「フム」
窓を背に設けられた書机から離れ、書斎手前の応接セットに席を移した邸の主は、扉の前に居立つ男に手振りだけで向かいを勧めた。
男が座るのを待って、主は鷹揚な動作で持て余し気味の長い足を組み、背を深く背もたれに預けると、腹の前で革手袋に包まれた指先を絡ませる。
仕草が一々芝居掛かっている。
「それで、どのようなご用件で?」
主が問う。
「どの、と言うことも、御座いませんがね。旦那が、大層珍しい鳥を飼ってる、って、聞いたものですから。」
妙な拍子で喋る男である。
「ほう?」
主は歎息した。
「見ての通り、南蛮被れなもので。孔雀に鸚鵡に鸚哥、…ああ、それから金糸雀も見たかな?」
「それはそれは」
大袈裟な動作で主は頷いた。
「単なる好奇心なんですが、見せて、いただきたく」
張り付いたような無表情で語る男の声も、どこまでも平坦だった。
「左様ですか。しかし、お引き取り願いたい」
主は浮かべた微笑を、僅かに眉を顰めて微苦笑に変えた。
「ほう?」
今度は男が歎息した。
「実のところ、そんなもの我が家には居ないのですよ。期待していただいたようで大変申し訳ないですが」
「おや?」
男は片眉を上げた。
「外にでしたら烏や鳩ぐらいはいるでしょうが」
主は肩を竦めて見せた。
「そう、ですか」
男は目を閉じて肩を落とした。
「なら、」
「何が、」
「居るんです?」
男が尋ねた。
主は顔色を換えずに答えた。
「雀が一羽」
*****
「何ですか、コレ?」
冒頭を観てバーナビーは声を出した。
隣でスクリーンの真ん前を陣取っているイワンが、食い入るように画面を見詰めていたので途中で聞くのを憚られたためだ。
因みに今画面ではOPムービーが流れている。
「ジャパニメーションです。すみません、無理やり押し掛けてしまって」
バーナビーより年下のイワンはしゅんと俯いてしまった。
「構いませんよ。無理やりなのは虎徹さんの方ですから」
ニコリとバーナビーは微笑んだ。
「そうだぞ折紙ィ。元は俺が言い出しっぺなんだからお前は謝んなくていいんだぞ。にしてもバニーちゃん、おじさんの扱いヒドくない?」
反対側から虎徹がイワンの頭を撫でて宥める。
「どこがですか?勝手に人の家に上がり込んで」
「なんだよ~、バニーん家スクリーンデカいし防音だからピッタリじゃん?お礼にお前の分だけエビフライ付けてやったんだからいいだろ?」
バニーだけ特別だぞ、と虎徹が囁いた。
「今回だけですよ」
バーナビーは顔を逸らす。
「ったく可愛くねェな」
「可愛くなくて結構です」
「ほら、始まりますよ!」
イワンの一声で三人は画面を見詰めた。
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