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三文芝居

日々の戯言を列ねていきます。
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逆転ぽい話

「それでは、僕達はこれで。先生もお疲れのようですから」
「ああ。聴取には近いうちに来てくれればいいから、ゆっくり休ませてやんなよ」
「はい、もちろん!」
私を荷物みたいに肩に担いだネウロは、軽く笹塚さんに会釈をすると事務所への帰路へついた。
「ヤコ」
しばらく歩いていると、突然ネウロが立ち止まった。
「何よ?」
「パンツが丸見えだぞ?」
単語を理解するのに一呼吸。
「ぅ、ええええええええっ!?ちょっ、やだ降ろしてぇえええ!!」
「オろしてだと?おお!事務所に行けば下ろし金があるぞ!」
「字が違う!今ここで降ろしてよ!」
「ここで?仕方ない、アスファルトで妥協してやろう」
「嬉々として地面に擦り付けんな!この外道!」
「家畜に言われたくはないな」
「家畜って!」
「我が家に勝手に住み着き、あまつさえ貴様の食事とやらの世話までさせておいて何を言うか、この雌豚」
「くっ…正論なだけに言い返せない」
「大人しくオろされろ」
「嫌だぁぁぁ…」

それからやっとの思いで事務所に帰りつくと、ネウロは私を放り出した。
否、正しくは投げ飛ばした。ソファに。
もちろん私の下着は道中ずっと衆目に晒されていた訳で。
「うう…最低。もうお嫁に行けない」
「何だと?」
うずくまって呟くと、ネウロはグイッと私の髪の毛を掴んで頭を持ち上げた。
「嫁に行くだと?家畜の分際で」
「ネウロ、どうしたの?」
「生意気な。我が輩は許さんぞ」
「あんた何言ってんの?」
頭は痛くない。私は魔人だから人間より痛覚神経が鈍い。だけど、今は五番目の肋骨の内側が痛い。たぶんこれが心臓の位置。
ココロが、痛い。

「ネウロは、私をどうしたいの?わかんないよ」
「ム?………さて、どうしたいのだろうな」
「わかんないのに私のことばっかり拘束しないでよ!」
ネウロが、好きだ。
ドSだし、俺様だし、わがままだけど、なんだかんだ言って協力してくれる。

あの、骨っぽい大きな手が好きだ。
あの、サラサラした髪の毛が好きだ。
あの、チラチラ覗く八重歯が好きだ。
あの、お腹に響く声が好きだ。
そして何より、嫉妬の色をしたあの眼が好きな私は、きっとどうかしている。

「ネウロはさ、」
ドキドキする。
「私のこと」
恐怖か期待か
「好きでしょ」
わからないけど。

答えはいらない。欲しくない。
拒絶されたら、どうしたらいいかわからないから。

「ゴメン、忘れて」
逃げられないから目を伏せた。すると顎を掴まれて無理やり視線を奪われる。
「何を言った」
「え?」
「今、何を言ったかと聞いている」
「…忘れて?」
「その前だ阿呆が」
「………忘れたよ」
「ピーマンめ」
手を放すと同時に渋い顔で暴言。
「ピーマン!?」
「身のない頭で考えろ。ピーマンの方がまだ使いでが有るぞ、このUMAが」
「だって、」
「好きだと?我が輩が?貴様を?」
立ち上がって私を見下す表情には侮蔑の色が見える。
「忘れてって「出来るかミジンコ」
「え?」
「貴様は、感情を喰らうくせに鈍すぎだ」

そっと、割れ物に触れるみたいに頬に手を添えて、ネウロの唇が降ってくる。
「貴様も、我が輩が好きだろう?」
まるで勝ち誇ったようにネウロが笑うから、悔しくなった私は彼の首にしがみついた。
「うん。すき」
耳元でネウロが笑った。



fin.

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紫藍夕亜
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女性
自己紹介:
最近、某様のおかげで紫藍(桃兎)夕亜が定着しつつある妄想だだ流れの管理人。

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