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三文芝居

日々の戯言を列ねていきます。
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溺れる魚 人魚の鱗

ちゃぷり。と、白い脚が昏く澄んだ水を跳ね上げる。
パシャパシャと雫が落ちた先に円を描く。
星雲色のヴェールのワンピースが纒わりついて、若い脚線を強調した。
ぼんやりと蕩けた瞳をして、パチパチと瞬きをする様は少女を歳よりも随分と幼く見せる。
ちゃぷり。ちゃぷり。
音を立てると、水面に白い影が集まってくる。
ぬめる冷たい手が甲を、足首を、ふくらはぎを掠める。
つるりとした感触を楽しむように、少女は脚をバタつかせた。
クスクス。
音も無く少女が笑う。
冷たい手が、少女の足首を掴んで引き寄せた。
ザブンと、少女の姿は水面に消えた。
細波が残っただけだった。



不思議と、呼吸が出来ないことを不便と思わなかった。
星雲色のスカートが広がって視界を塞ぐ。
淡い桃色の向こうにいくつもの白い身体が見える。
銀色の鱗を煌めかせて泳ぐ人魚たちが、ヤコの身体に触れて笑う。
(なんて可哀想な身体)
(胸もくびれも無いなんて)
(こんな女の何がいいのかしら?)
クスクス。
肩に触れ、肋をなぞり、腹を撫で、脚を辿る手。手。手。
ぞわり、と背筋が震えた。
こぽり、と吐息があぶくに変わる。
(まあ!)
脚を撫でる手が足首を掴んだ。
(尾鰭を手放したくせに)
(まだ鱗を持っているなんて!)
足指が温い口内に導かれる。
親指を含まれて、皮膚の薄い関節の裏を擽られた。
同時に脇腹を齧られて、胎内にじわりと熱が溜まる。
思わず大きく口を開けて喘ぐと、大きな気泡が昇って行った。
(魚にはもう、戻れないのよ)
指を咬み切ろうと歯を立てられた刹那、大きな手がヤコの腰を捕らえた。
(あら!)
(ネウロ様!)
騒ぐ人魚たちを後目に、ネウロはヤコの顔を引き寄せると、深く口付けて呼気を送った。
一頻り済むと、ネウロは人魚たちを鋭く睨んだ。
(我が輩のものに許可無く触れるな。魚共め)
そう言い捨てると、ヤコを抱えて揺らめく月へ昇って行った。



ネウロはヤコを波打ち際に投げ捨てたマントに横たえた。
後頭部を引き寄せ、深く深く口付ける。
喉を塞ぐ水を取り除かれて、ヤコは大きく胸を震わせて呼吸を再開した。
「どうして1人で外に出た!?」
至るところから水滴を滴らせて、覆い被さったネウロが声を荒げた。
「さあ…?なんでかな?」
ぼんやりと、夢幻を彷徨う声でヤコは答えた。
「貴様っ…」
ネウロは苛立ちを隠そうともせずヤコを詰った。
「我が輩が、どんな思いで、貴様を、庇護していると!」
「うん。ごめんなさい」
焦点の定まらない瞳を揺らして、色の無い表情でヤコは泣いた。
ごめんなさい。ごめんなさい。
それしか言葉を知らぬように繰り返しては涙をこぼす。
止まらない涙が頬を濡らして熱を奪っていく。
日焼けなど知らぬ真白い肌が蒼褪めていく。
死体のように冷えきって、二度と動かなくなる錯覚をネウロに抱かせた。
「頼むから…何処にも行くな。我が輩の傍に、目の届く所に居てくれ」
体温を分け与えるために、ネウロは己のドレスシャツのボタンを寛げ、ヤコのワンピースを引き裂き胸に抱き込んだ。
遮るものの無い肌を擦り合わせ、僅かな温もりも惜しむようにヤコに触れた。
細い吐息を止めたくて、噛み付く勢いで口付ける。
角度を何度も変え、喉奥で縮こまる舌を引き摺り出し、絡めて吸い上げて持てる限りの愛撫を施した。
口端から零れた唾液を辿り、首筋をなぞり、鎖骨に牙を立てる。
「、っひぁ!」
ネウロの手は止まることを知らず、下へ下へとヤコの身体を撫で回す。
そして口は冷えた甘やかな肌を口付けで色付けていく。
肋の浮いた胸の合間に舌を這わせ、かじりつきながら時折音を立てて吸い上げた。
びくりびくりと、打ち上げられた魚のように跳ねる身体を押さえつけ、ネウロの手はとうとう下肢の付け根へと辿り着く。
ひちゃり。
淫猥な音を立てて下花が戦慄いた。
「っく、ぁ!」
引き攣れた声が喉から零れ落ちてネウロは嘲笑う。
「何だ?魚にまで欲情したか?この淫乱娘!」
「ちが…!」
「何が違うのだ?答えろ、ヤコ!」
ネウロは慟哭と共にヤコの細身を貫いた。
揺さぶられるまま、ヤコはただ唇を噛みしめてネウロを受け止める。
覆い被さる最愛には手も伸ばさず。
込み上げる嬌声すら飲みこんで。
「何故だ、ヤコ?貴様には我が輩だけだと教えたはずだ!」
ネウロの絶望を受け止め、ヤコはキツく目を閉じた。
ネウロは震える掌でヤコの頬を押し包んだ。



「ごめんなさい。ネウロを試したの」
「だって、私は…あなたの妹の私は、あなたと一緒には生きられないから、風の精になれたら許されると思ったの」
絵本で読んだ人魚姫。
叶わぬ恋の果てにあぶくと消え、風の精になった末の妹。
姿を変えて、愛された娘。
そんな風になれたら、あなたと一緒にいることを許されると思ったの。
ただの戯び。
ただの気紛れ。



ひたり。冷たく濡れた小さな掌が頬に添えられる。
ネウロはその手を逃がさぬように捕らえ、擦り寄るように首を傾げた。
「ネウロ…」
「…ヤコ…」
薄ら褪めた群青が水平線に滲み始めた。忍び寄る朝の気配に、ネウロは融けることを拒む。
「ヤコ、そんなに風に融けてしまいたいか?」
「今の私でなければいいの」
「我が輩が、変えてやる。跡形も無くなるほど、蕩かしてやる」
熱い吐息を耳に流し込まれて、ひくりと細い身体が跳ねた。
「だからヤコよ。1人で外に出るんじゃない」
ぎゅう、と抱き締められてヤコは同じ力でネウロを抱き締め返した。
ごうっ、と空気が唸り声を上げた。
背中に感じた暖かさは、柔らかく抱き止めるベッドのスプリング。
灯りも窓も無い、馴染んだ自室のそれ。
「安心しろ。貴様以外見えていないのだ、初めから」
力強く抱き締められて閉じた瞼から涙が溢れた。
朝陽に融けて無くなる前に、2つの吐息が交ざって消えた。



休止期に入る直前のヤコ様。
夢現を移ろう人魚姫。



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女王様と犬



エロい顔が描きたかった。
それだけ。

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カナリァ3兄妹

PC戻ってきた時にすぐ作業出来るようにストックしておこうと思うのです。

ぴぃ兄とたま(とはなちゃん)
なんだか朱雀がもやし。


はなちゃんとたま(とぴぃ兄)
なんだか次男のが童顔のくせに兄よりデカく見えるぉ…。


皇女と皇子
(たまを挟めば)仲良し兄妹。


普段の。
子供らしい。


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描いてみた


ニコニコの手書きネウロ動画が可愛くてつい。
きっとネウロはノリノリで踊ってくれる。

私信>>>ご主人様
今年こそ描いてみせました。
ぶっちゃけ最初の鬼組しかハロウィン要素ない気がするよ…。
てことで、ハロウィンも終わったのでどうぞお納めくださいませ。
∠_oノ【ハロウィン4種】


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よぉ~んまぁ~い。

全部描いた!
今年は有言実行したぞ!!

さてさて皆様、
「Trick or Treat?」
お菓子をくれなきゃいたずらします!!

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HN:
紫藍夕亜
性別:
女性
自己紹介:
最近、某様のおかげで紫藍(桃兎)夕亜が定着しつつある妄想だだ流れの管理人。

現在超絶不親切不定期更新中。
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